会長・実行委員長挨拶

会長


全国から約1万名の会員が集まる建築学会大会は、日頃の研究成果を発表し、討論・研鑽する場として、日本建築学会にとって最も重要な行事です。

建築界を取り巻く状況には依然厳しいものがありますが、一方で、建築に対する社会の期待が大きいこともまた事実です。建築学は、少子高齢化時代の社会空間、資源・エネルギー循環への対応、多文化・多元的社会の公益活動の仕組みづくりなど、長期的な課題解決に寄与するため、建築の概念をより広く捉え、ニューフロンティアを開拓する必要があります。建築の多面的な役割を再確認し、成熟社会の閉塞感を打破したいものです。

こうしたなか、今年の大会は「都市のリアリティ」をテーマとし、都市の構成要素としての建築の可能性に焦点を当て、21世紀の都市・建築のあり方を構想しながら進められるものであり、誠に時宜にかなったものと考えます。

大会期間中は、会員向けの企画はもちろんのこと、市民の皆様にも安全で安心な建築・まちづくりや建築文化について、理解と認識を深めていただくため、講演会やシンポジウム・見学会なども開催いたします。皆様のご参会をお待ちしています。

 

 

実行委員長

昨年の広島大会での引き継ぎの時には、仙台大会は東北大学の川内キャンパスで行いますとお約束しましたが、本年、川内キャンパスは全面改修となり、東北学院大学をお借りすることになりました。急な話でしたが、快く引き受けて下さった東北学院大学に紙面をお借りして厚く御礼申し上げます。会場は郊外の緑豊かな所に位置していますが、市の中心から地下鉄とシャトルバスで容易に移動できるよう手配しましたのでご安心ください。開催は、会場がコンパクトであることから4日間になりましたが、それ故会員相互の密接な交流が行えるものと考えています。

学術講演発表数は6,403題で、過去5年間で最も多く、研究協議会・パネルディスカッション・研究懇談会・緊急報告会は合わせて53主題でこれも例年よりかなり多く、活発な研究発表や討論が行われるものと期待されます。しかし、昨年開始された建築デザイン発表の題数は119題と7割近くに減ってしまい残念なことでしたが、仙台大会で成果を上げて次年度以降に発展していくことを祈念しています。

その他、仙台大会では、「都市のリアリティ」という統一テーマのもと、記念行事と関連行事にも力を注いでおり、東北大学100周年記念会館におけるシンポジウム、仙台メディアテークにおける様々な催し物など、会員の皆様のみならず、市民の方も対象とした行事を企画しています。特に、仙台の中心にあり、市民の情報交換の場である仙台メディアテークでは建築に関する映画上映や、夏休み中の子供さんも楽しめるようなアーキニアリング展を開催します。また、フォレスト仙台で開催する「住まいづくり市民セミナー」では、一般市民を対象として講演および住宅の住み方相談を行い、建築に関する研究成果を市民に還元することを意図しました。建築学会は「学術・技術・芸術の発達をはかり、社会の発展と公共の福祉の向上に寄与する」ことを標榜していますので、仙台での大会を「市民に開かれた建築学会」として市民にアピールできるよい機会と考えています。会員の皆様も市内に戻られましたら是非立ち寄っていただければ幸いです。

仙台は、海、山に囲まれ、近郊には良質な温泉も沢山ございます。また、仙台をはじめとして東北の様々な美味しい肴と、旨い酒に恵まれております。昼の研究発表と情報交換の疲れを癒しながら、夜は仙台市内で舌鼓を打っていただければと思っております。

委員一同、皆様の来仙を心よりお待ち申し上げます。