日本建築学会は、本年4月に創立121周年を迎えました。この間、会員相互の協力によって学術・技術・芸術の進歩発達をはかることを目的として、それぞれの時代の要請に応じた活動により、わが国建築界においてつねに主導的な役割を果たして参りました。
毎年開催される大会は、全国から集まる約1万名の会員が日頃の研究成果を発表し、討論し、研鑽する場として最も重要な行事です。
現在、耐震強度偽装に関わる一連の不祥事や談合問題により、建築界に対する社会的信頼が大きく揺らいでいます。建築基準法・建築士法の一部改正など、建築物の安全性に対する国民の信頼回復に向けた動きは進んでいますが、建築界には人々の暮らしや生命を大切にした、社会資産としての美しい建築と地域を築くことが求められています。
こうした中、今年の大会が「ひと・まち・いのち−建築」をテーマとし、アジアの玄関口と言われる福岡で開催されることは誠に時宜にかなったものです。
会員向けの企画はもちろんのこと、市民の皆様にも安全で安心な建築・まちづくりや建築文化についての理解と認識を深めていただくために、講演会やシンポジウム・見学会なども開催いたします。皆様のご参会をお待ちしています。
日本建築学会大会は主会場を九州産業大学として以来、9年振りに九州での開催となります。
本年度は福岡大学が主会場です。当大学は福岡市の南郊に位置し、9学部30学科、大学院10研究科、学生総数2万人余の総合大学です。都心・天神から市の南西に延びる福岡市営地下鉄七隈線が05年に開通し、通学の便は飛躍的に改善されました。
本年度の大会テーマは「ひと・まち・いのち−建築」です。一人ひとりの日々の生活、その活動が展開される空間・まちをいかに創造していくか、根底にいのちを据えました。建築にかかわる学術・技術・芸術の力をもって社会への貢献を目指す大会にという願意を込めています。
大会期間前後の公開講演会・シンポジウムや展示会、見学会などもあわせて、多くの皆さまに御参加いただきますよう御案内申し上げる次第です。