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会長・実行委員長挨拶

日本建築学会が毎年秋に開いている大会は、8つの支部のご努力によって順に準備、実行されていますが、本年は東海支部のご担当で名古屋大学において開かれます。テーマとして「建築の原点-自然と向き合う-」を掲げ、着々と準備が進められています。我々、建築に携わる者は昨年3月11日の東日本大震災を受け、人々の生活を支え文明と文化をになう建築の原点を見直すことの必要性、大きな自然のなかで我々は生かされていることをあらためて認識させられました。

小さな住宅でも大きな建築でも、我々はその建築を使う人々のことを考え、建設地の風土を理解し、歴史と文化を考え、大地震、大津波、暴風雨、豪雪などの自然の猛威に負けないように、さらに最新の技術を理解して、素晴らしい建築を設計し施工しなければなりません。これらについて先人が築いてきた多くの蓄積のうえで、我々は活動しています。さらに、一つの建築の設計、施工にも、多くの人々の考え、経験、研究が支えになっています。

この知の蓄積、盛んな研究交流、活発な議論の場が日本建築学会です。若い建築家、技術者、研究者はこの場に出て、始めはドキドキしながら作品、研究などによって自分の主張を発表し、先輩たちはこの新鮮な発表に目を見張り、新しい発見をしつつ、経験を積んだ人たちも発表を続け、互いにより良い方向へと進み、知見を積み重ねていきます。

大会は、このことが直接に行える素晴らしい場です。是非、皆様、初秋の名古屋に集まり、建築とまちづくりのことを大いに議論しましょう。

 


今年の建築学会大会は名古屋大学東山キャンパスで行われます。東海支部では9回目、名古屋大学では2回目の開催です。

昨年3月11日の東日本大震災は、福島第一原子力発電所の事故による放射能災禍とともに、日本中の人々の生活に大きな影響を及ぼしました。私たちにとって、3.11はそれ以前の日本とそれ以後の日本を隔てる、時代の分水嶺となったと言えます。大会開催時にはそれから1年半の時間が経過することになります。

このような状況を見つめ、大会実行委員会では、今回の大会のメインテーマを「建築の原点-自然と向き合う-」としました。これは、自然の脅威に対して十分な備えを持つ建築、自然環境のポテンシャルを十分に活用した建築、人に快くかつ自然をできるだけ損なうことのない建築を創り上げるため、いま一度、建築の原点に立ち返り、自然と向きあいながら、将来にわたって持続可能な建築について、そのあり方と実現の方法について語り合うことを大会開催の主眼にしようという実行委員会の総意に基づいています。自然に対峙し、あわよくばこれを制御しようとしてきた人間の傲慢さを猛省し、謙虚に誠実に真正面からこれに向き合い、建築、まち、都市、国、世界、地球、宇宙を考えることを目指したものです。

ところで、今回の大会の直前には、同じ名古屋大学東山キャンパスで土木学会の年次大会が行われます。実行委員会では建設関連の二大学会の年次大会が、ほぼ同じ時期にしかも名古屋大学東山キャンパスの同じ場所で行われるというめったにないチャンスを生かした両大会を通した記念行事も企画しました。

名古屋大学東山キャンパスには名古屋市営の地下鉄「名古屋大学」駅が建設され、名古屋駅からのアクセスも便利になりました(所要時間22分)。また、昨年7月に耐震改修により生まれ変わった豊田講堂が国の有形登録文化財に登録されましたが、大会初日にはこのアトリウムで大会懇親会が企画されています。ここには、是非、多くの若い方々にも集まっていただきたいと考えています。

名古屋大学へようこそ。

私たち実行委員会メンバーは、大会に参加される皆さんに有意義な時間を提供し、本学で永く記憶に残る良い思い出をたくさん作っていただけるよう、この学会大会を心を込めて準備しお待ちしています。


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