会長・実行委員長挨拶

日本建築学会会長 斎藤公男


建築学会大会は、全国から集まる約1万名の会員が日頃の研究成果を発表し、討論し、研鑽する場として最も重要な行事です。

しかしながら従来より、学術分野の研究発表に比べ、技術・芸術分野の発表の少ない点が指摘されておりました。そこで、今回の大会より「建築デザイン発表会」を新設し、デザイン系の学生・教員にも発表の門戸を広げました。また、計画・構造・環境等に関わる各々のワークを囲んで、アーキテクトやエンジニアによる議論の場が創出されることも期待されています。

“デザイン”とは、単なる芸術の意を超えた“建築の総合的創造性”を表す言葉であり、構想したものを具体な形にするという、「建築」にとって大切な概念です。様々な分野や会員で構成されている建築学会を、横断的・総合的にまとめ、結びつけるキーワードが“デザイン”であろうと思います。

今回の大会を契機に、デザインに関心をもつ多くの会員にご参加をいただき、大会はもちろん、支部活動も含めた学会全体の活性化につながることを祈念しております。

折しも、今年の大会テーマは「地球=大きな家」です。まさに建築における時間・空間・環境の“総合的なデザイン”が前面に掲げられていることは、誠に時宜にかなったものと思われます。

会員向けの企画はもちろんのこと、市民の皆様にも安全で安心な建築・まちづくりや建築文化についての理解と認識を深めていただくために、講演会やシンポジウム・見学会なども開催いたします。皆様のご参会をお待ちしています。



実行委員長 三浦賢治


中国支部での日本建築学会大会の開催は9年振りです。会場は前回と同様、広島大学東広島キャンパスです。広島大学は11学部、大学院12研究科、学部学生数約1万1千人、大学院生約4千人の総合研究大学で、その中核をなす東広島キャンパスはJR西条駅から南西約5kmの所に位置する広大なキャンパスでして、その北側には大学町が形成されています。9年前に比べ飛躍的に整備されたキャンパスおよびその周辺また市街地に驚かれることと思います。大会期間中は広島市内および広島空港から会場までの直通バス(予約制)、JR西条駅からは増発便バスを運行しまして、皆様の交通の便を確保しますので是非ご利用下さい。

今年度の大会テーマは「地球=大きな家」です。地球環境の生態系をよく知り、上手に共生することが求められている今日、建築とは単に建物をつくることだけを指すのでなく、身体を包む衣服から住まいのインテリア、そして住宅地から都市、さらに地球環境までを視野に入れた、モノと空間システムの文化のことといえるでしょう。21世紀が人類の建築史で何を創造していくべきか、夢とリアリティを語り合いたいと思います。

大会期間中および前後の記念講演会・シンポジウムや見学会なども合わせて、多数の皆様にご参加頂けますようご案内申し上げます。