日本建築学会大会[東海] 2021  記念行事 ニューノーマルの建築観 身体・距離・時間・領域

※記念行事は終了しました。一部の動画を全編公開していますのでご覧いただけます。

With/Afterコロナがもたらす変化によって、ニューノーマルな建築観はどのように変わるのか?

本大会の記念行事は、新型コロナ感染対策のため、通常おこなう対面式ではなく、大会期間中に映像配信する形式である。コロナ禍によって、日々の働き方やコミュニケーションの取り方、距離と時間との関係性など、ライフスタイルに大きな変化が生じている。その上で、従来までの建築実務や研究手法の領域から、社会における「建築」自体の価値や役割への影響を鑑みると、身体感覚や情報技術、交通手段や都市構造そのものを再考する機会に、人類は直面していると言っても過言ではないだろう。建築も都市も、そこで過ごす人々の行為も含め、With/Afterコロナを見据えた、「ニューノーマル」な生活様式を考えなくてはいけない時代ではないか。

記念行事では、通常の記念講演、シンポジウム、見学会といった形式ではなく、記念講演×シンポジウム×見学会 ≒ ニューノーマルな新しい試みに挑戦するものである。例えば、建築専門家と建築以外の分野の知見を掛け合わせることで、領域や分野を超えた横断的かつ包括的な問題提起とつながるのではないだろうか。

他方、本来なら東海会場へとお越しいただき、名古屋の建築や街の様子を体験してもらえる機会であったろう。そのため、映像配信であっても、名古屋における建築や都市の魅力に加え、街がもつ歴史的文脈や文化的資源を伝えられるよう心掛けた。直接的な体験が難しくても、あたかも見学会に参加したような仕掛けを通して、名古屋の建築やまちへと興味を抱き、足を運んでみたいと共感いただける行事としたい。

With/Afterコロナがもたらす変化によって、ニューノーマルな建築観はどのように変わるのか?何が課題であり、何を改善し、どのように変わっていかなくてはいけないのか、これらの問題提起と真摯に向き合い、名古屋の建築と都市を舞台としながら、次世代が備えるべきビジョンを、皆様と共有する機会としたい。

記念行事1 医療現場と教育環境から見据える

コミュニケーションのあり方に大きな変化が起きているコロナ禍において、次世代の建築にはどのようなパラダイムシフトが起きるのだろうか。直接人と会うことや現実空間での体験が減り、身体感覚や距離感の認識に変化が起きているなかで、医療や教育における建築の役割、次代を担う子どもたちの遊びと学びのあり方はどのように変わるのだろうか。次世代を育む環境デザインに取り組む環境建築家・仙田満氏と、これからの小児科医のあり方を提唱する医師・五十嵐隆氏に、仕事を通して伝えることの変化、国や世代による価値観の違い、医療と建築における身体的なコミュニケーションの再解釈に至るまで、それぞれの視座から展望を語っていただく。

 対談の舞台である「愛知県児童総合センター」は、仙田氏らによる設計で1997年に日本建築学会賞を受賞した建築である。仙田氏自らが建物内を案内する様子や、子どもという共通のキーワードをもつお二人の対談を通して、次世代の医療や教育におけるニューノーマルの建築のあり方を見据えたい。

event1 Perspectives of healthcare and educational environment
対談会場:愛知県児童総合センター(建築学会賞’97)

記念行事2 歴史建築から紐解く

コロナ禍は、人と社会、人と人のつながり方や関係性を変え、そのための場である建築空間にとっても一つの時代の区切りをもたらしている。またウェブ上での活動が急速に日常化し、現実世界での行動の意味や価値の変化を多くの人が感じているのではないだろうか。こうした変化の先にある未来像もこれまで描いていたものと変わらざるを得ない今、時代・地域を超えて建築と空間を伝える建築史家・中川武氏と、時代の先端で人びとが時間・空間を体験し楽しむメディア作品を創造している建築家・河田将吾氏に、建築・空間の思考や創造のこの先についてそれぞれの視座から語っていただく。

対談の舞台は、実物の建物を見て体験できる全国屈指の建築博物館であり、中川氏が館長を務める「博物館明治村」。村内や対談会場となる建物の様子もオンラインで楽しんで頂くことで、歴史からニューノーマルにおける建築・空間体験の価値・意味について紐解く機会としたい。

event1 Interpretations from the historical point of view
対談会場:博物館明治村

記念行事3 身体感覚から読み解く

コロナ禍によって、在宅ワークやオンライン授業など、特定の建築空間以外への機能・用途の分散が一気に加速した。これは、ICT・デジタル技術活用のきっかけであると同時に、機能性から独立した、よりピュアな人間の身体・知覚と空間との関係の議論が進むチャンスであるともいえるのではないか。光・音の研究など様々に活躍するメディアアーティスト・落合陽一氏と、紙管をはじめとする先駆的な材料や工法を用いた建築を提案してきた建築家・坂 茂(ばん しげる)氏に、ニューノーマル時代における実存としての建築空間の未来について、それぞれの視座から展望を語っていただく。

対談の舞台は、坂氏が設計した都内のレストラン「Vin Sante」。新たな表現を模索するお二人の対談から、ニューノーマルにおける身体感覚の観点で、建築を含む世界のあり方を読み解いていく。

他方、名古屋市中区にある坂氏の設計した「タマディック本社ビル」の工事現場を舞台に、施主である森實敏彦氏と建築家との対話を試みる。国産杉材を使用した木質免震構造を採用するなど、最先端の技術と設計に込められた建築家の意思、そして、施主の想いを語っていただく。

event1 Outlook of physical experience
talk.1
対談会場シャッター・ハウス サイトウ邸
talk.2
対談会場:タマディック新社屋の建設現場

記念行事4 都市の文脈とまちづくり活動から見つめる

コロナ禍で観光が制限されるなか、現地に行くことの意義が問われ、新しい手段での空間体験がそれに代わるのか試行錯誤が続いている。一方、街あるきイベントが増え、自らが住む街にある建築や街並みなどに興味をもっている人も増えているという。名古屋のまちづくりの現状や魅力、そして今後の展望など広く知っていただくような行事としたい。そこで、テレビドラマ「名建築で昼食を」が放映されるなど人気の文筆家・甲斐みのり⽒とアナウンサー・松岡陽子氏に、名古屋市内でまちづくり活動が活発な商店街や地区を、案内人とともに巡っていただく。あたかも、実際に街を歩いているような感覚で、そのまち独⾃の建築や⽼舗店舗、なごやめしなど⾷⽂化を紹介・解説しながら巡るツアー形式である。街めぐりが好きな観光客から地元民まで、何度でも楽しめるように街の魅力を凝縮させた。

event1 Interpretations from the historical point of view
案内場所:名古屋市 円頓寺・四間道地区、栄ミナミ地区

案内人

  • ⽥尾 ⼤介 ⽒(円頓寺商店街振興組合理事長)
  • 北原 陽子 ⽒(東和不動産株式会社)
  • ⽶⽥ ⾏孝 ⽒(栄ミナミまちづくり株式会社)

名古屋まちづくり広場

名古屋市内には、多彩なまちづくり活動を実践している団体が多数ある。「まちづくり広場」と題して、12のまちづくり団体が一堂に会するweb上に映像アーカイブをつくることで、名古屋の先駆的かつ草の根的活動を紹介したい。
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